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京都国立博物館 メールマガジン 第19号 2008年11月12日
配信日時:2022/02/15 14:10
京都国立博物館 メールマガジン 第19号[KNM:0019]

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[ご挨拶]
 さあ、今年ももう11月。京都の観光シーズンですね。日毎に盛り上
がってくる雰囲気におされたわけでもないのですが、ついこの前、10
月末の日曜日に久しぶりに東福寺さんにお詣りしてきました。
洗玉澗という渓谷に架かる橋のあたりは、市内でも有名な紅葉の名所で
すが、さすがに10月ではまだまだですね。もっともそのおかげで静か
な境内をゆっくりと散策することができたわけですが……。
 さて、もうご覧いただいた方も多いかと思いますが、いま京博では特
別展「japan蒔絵竏昼{殿を飾る東洋の燦めき」を開催しています(12
月7日まで)。連日大盛況ですが、とくに宮殿の一室を再現した中央室の
展示は大好評のようです。展覧会は会期が終わりに近くなるほど混み合
います。どうぞゆっくりご覧になれるいまのうちに足をお運び下さい。
(学芸部長 小松大秀)



[特別展覧会] japan 蒔絵―宮殿を飾る 東洋の燦めき―
平成20年10月18日(土)縲・2月7日(日)
特別展示館

日本の蒔絵は「鎖国」の時代にも海外へ輸出されていました。遠く東
洋からもたらされる贅沢品として珍重され、各国の宮殿を飾りました。
この展覧会は、マリー・アントワネットのコレクションをはじめ、ヨー
ロッパの宮殿に伝わった数々の名品によって、日本の蒔絵のもうひとつ
の歴史を概観します。

展覧会詳細は→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tokubetsu/081018/tokubetsu.html
公式ホームページ→
http://japan-makie.jp/
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[特別展覧会] 京都御所ゆかりの至宝竏低Sる宮廷文化の美
平成21年1月10日(土)縲・月22日(日)
特別展示館

京都御所ゆかりの、雅な宮廷生活を彩った美術品の数々を一挙に公開し
ます。
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[特別公開] 篤姫をめぐる人と刀剣・甲冑
平成20年10月22日(水)縲・2月7日(日)
平常展示館 金工(16室)

NHK大河ドラマ『篤姫』が大人気です。鹿児島・島津家の分家に生
まれながら藩主島津斉彬の養女、そして十三代将軍徳川家定の正室とな
り、大奥にあって徳川慶喜の将軍擁立から江戸城開城まで、激動の幕末
に活躍した篤姫の生きざまが視聴者の心をつかんだようです。ドラマに
ちなみ、当館収蔵品から、篤姫のまわりで重要な役割を果たした人物ゆ
かりの刀剣・甲冑の名品五件を公開します。

詳細はこちら→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/chinretsu/atuhime/atuhime2008.html
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平常展示館最後のビックなプレゼント!
「国宝への道 いざ!京都国立博物館へ」
平成20年11月6日(木)縲・2月7日(日)
平常展示館 絵画(8・9・10室)書跡(13室)

国宝 源頼朝像(神護寺蔵)はじめ20件におよぶ国宝を展示します。
ぜひ、この機会にこころ行くまでご鑑賞ください。

展示品詳細については、平常展示の各ページをご覧下さい。
詳しくはこちら→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/heijou/index.html
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[関西文化の日]
関西の美術品・文化財に広く親しんでいただく「関西文化の日」。今年は
11月15(土)・16日(日)に実施いたします。平常展示館が無料でご覧
いただけますので、ぜひご来館ください。

詳細はこちら→
関西文化.com http://www.kansaibunka.com/
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[土曜講座]
毎週土曜日の午後1時30分から、当館講堂において、当館研究員が展
覧会や展示品に関連した講座を行っています。
参加費は無料。定員は176名です。
テーマによっては外部講師をお招きしています。
なお、特別展覧会期間中の講座に関して、講座当日の12時45分から渡
り廊下にて入場整理券を発行します。
整理券がなくなり次第、受付を終了いたしますので、あしからずご了承
願います。
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平成20年11月15日
テーマ/輸出漆器にみる洋風表現
講 師/神戸市立博物館主幹学芸員 岡 泰正氏
※特別展覧会「japan蒔絵竏昼{殿を飾る 東洋の燦めき竏秩v関連講座
*整理券発行

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平成20年11月22日
テーマ/※明治前期の輸出漆器竏猪恪藻似莱・ノ出品された新古の漆器竏箪r
講 師/大阪市立美術館学芸員 土井 久美子氏
※特別展覧会「japan蒔絵竏昼{殿を飾る 東洋の燦めき竏秩v関連講座
*整理券発行

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平成20年11月29日
テーマ/【家族の週間協賛講演会】 金碧画のルーツ
講 師/館長 佐々木 丞平
*整理券発行

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平成20年12月6日
テーマ/森田慶一の建築と京都国立博物館の40年
講 師/文化財管理監 中村 康
*整理券発行

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講座詳細は→http://www.kyohaku.go.jp/jp/kouza/kouza.html
携帯版は→http://www.kyohaku.go.jp/i/doyou.html



[平常展示館ファイナルコンサートのご案内]
●平成20年12月2日(火)
『バロック音楽で綴るコンサート』
出 演 者:延原武春・高田泰明ほか(日本テレマン協会)
開演時間:18時30分
会 場:平常展示館 講堂
料 金:有料

●平成20年12月6日(土)
『自転車発電エコライブ』
出演者:るみねしょう・童(わらび)
開演時間:15時00分
会 場:丸池周辺
料 金:無料

●平成20年12月7日(日)
『弦楽四重奏コンサート』
出演者:カルテット・パナシェ
(京都市立芸術大学音楽学部弦楽専攻生による弦楽四重奏団)
開演時間:第1部 14時00分、第2部 16時00分
会 場:平常展示館 講堂
料 金:無料(開演1時間前に整理券を配布)

※詳細につきましては、京都国立博物館ホームページで随時ご案内致し
ますので、ご確認くださるようお願いします。
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[重要なお知らせ]
●平常展示館さよなら記念 無料観覧WEEK
昭和41年に開館してから今日まで、約42年間、歴史や文化にふれ、
国宝や重要文化財などの名品に出会う場として親しまれてきた平常展示
館が、12月7日をもって閉館します。
これまでの皆様のご支援ご協力に感謝の意を込めまして、12月2日
(火)縲怩V日(日)まで、平常展示観覧料を無料といたします。
 現在の展示室でご覧いただけるのはこれが最後です。ぜひこの機会に
心ゆくまでご鑑賞ください。

*無料観覧日につきましては、平常展示休止にともない、11月22日
をもって一旦終了とさせていただきます。

●全館休館のお知らせ
 京都国立博物館は、平常展示館建替工事に伴い、当分の間平常展示を
休止し、特別展覧会期間中のみ開館する予定です。平成20年度の全館
休館は次の通りです。
 平成20年12月8日(月)縲恤ス成21年1月9日(金)
 平成21年2月23日(月)縲怩R月23日(月)
リニューアルオープンまでの間、ご不便、ご迷惑をお掛けいたしますが、
ご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

●西門(正門)閉鎖について
 工事車両通行に伴う安全上の観点から、2008年12月8日(月)
より当分の間、「西門(正門)」を閉鎖いたします。
 以降、来館者の皆様の入退館は、南門(七条通り側)からとなります。
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[博物館Dictionary] No.165
あなたに語る・時代を超えて生きる心

「色っぽい銅の話」について勉強してみよう。

画像はこちら→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/chinretsu/mmd/mmd165.html

銅は、鉄と共に人類の発展に大きく寄与(きよ)した金属です。銅は、た
いへん優秀(ゆうしゅう)な材料で、昔からさまざまなモノを作るのに使
われてきました。金属は、違う金属を加えて合金(ごうきん)を作ると、
さらに優秀な特性を発揮(はっき)します。銅もさまざまな金属とブレン
ドして使われてきました。弥生時代(やよいじだい)に登場した銅鐸(どう
たく)などは、銅にスズを加えた「青銅(せいどう)」によって作られてい
ることは皆さんもご存知でしょう。
また、銅は独特の赤桃色を持っていますが、他の金属を加えると色が変
化する性質を持っています。例えば、スズが15縲怩Q0%含(ふく)まれ
ると、金色に近い色を示します。今ではすっかり緑青(ろくしょう)サビ
で覆(おお)われている銅鐸も、作られた時は金色をしていたのではない
か、といわれるのはそのためです。
銅の合金には、色の名前がついているものがあります。例えば、「黄銅(お
うどう)」。銅と亜鉛(あえん)の合金です。お馴染(なじ)みの5円硬貨が
黄銅製ですから、すぐに納得(なっとく)できるでしょう。50円や10
0円硬貨は、「白銅(はくどう)」製。銅とニッケルの合金です。ところが、
古代の「白銅」は、銅に25%程度のスズが含まれた合金のことですか
ら、注意しないといけません。ちなみに、新500円硬貨が少し黄色味
を帯びているのは、銅とニッケルの合金である白銅に亜鉛を加えている
からです。
次に、「赤銅」について考えてみましょう。古くは正倉院宝物(しょう
そういんほうもつ)の中に「赤銅合子」があります。この場合、他の金属
を加えた合金というより、ほぼ純銅に近いもので、銅そのものの赤色を
示し、まさに「あかどう」、あるいは、「せきどう」と呼ぶのがふさわし
いのでしょう。近世には、この「赤銅」を「しゃくどう」と呼ぶ合金が
登場します。主に、刀の飾(かざ)り金具(かなぐ)、すなわち刀装具(とう
そうぐ)に使われる合金です。名前に「赤」を持ちながら、その色は艶(つ
や)のある紫黒色(しこくしょく)という不思議な合金です。少し紫色を帯
びた深みのある光沢を備(そな)えた黒は、まさに「烏の濡れ羽色(から
すのぬればいろ)」に近いため、「烏金」と書く場合もあります。
赤銅(しゃくどう)は、古く平安時代にまで遡(さかのぼ)るという説も
ありますが、未(いま)だに実態がよくわからない合金の一つです。基本
は、銅に3縲・%程度の金を含む合金です。実際には、近世金工の祖、後
藤祐乗(ごとうゆうじょう)が、15世紀後半に用いることによってその
存在が定着(ていちゃく)したと考えてよいでしょう。後藤家は、その後
江戸時代の最後まで17代にわたって、赤銅地を基本にした「三所物(み
ところもの)」の造作を伝統的に受け継ぎます。「三所物」とは、笄(こ
うがい)、目貫(めぬき)、小柄(こづか)の3点をセットで扱(あつか)
う時の呼称(こしょう)です。
 では、ここで質問です。「銅に金が少し入ったらどうして黒くなるので
しょうか?」赤銅の紫黒色は、何とも土俗的(どぞくてき)というか、錬
金術(れんきんじゅつ)のような方法によって生まれます。銅鍋(どうな
べ)で沸(わ)かした湯に、少量の緑青(塩基性炭酸銅(えんきせいたんさ
んどう))、丹礬(にばん)(硫酸銅(りゅうさんどう))、さらには明礬(み
ょうばん)などの薬品を加えて、この合金をグツグツと煮(に)ると、表面
の色が艶のある見事な紫黒色に一変するのです。これが、「煮色法(にい
ろほう)」と呼ばれる日本の近世金工を代表する発色法(はっしょくほう)
です。銅と銀の合金である「四分一(しぶいち)」も、この方法で「いぶ
し銀」の渋(しぶ)い銀灰色(ぎんかいしょく)が得られます。これらの色
は、合金がもともと持つ材料の特性が、煮色法によって誘(さそ)い出さ
れた姿なのです。「着色」というより、「誘色(ゆうしょく)」と呼ぶのが
ふさわしいでしょう。
さて、煮色法によって得られた紫黒色の赤銅表面を最新の科学分析で
探ってみると、本体の地金(じがね)の表面に形成された厚さ3ミクロン
程度の亜酸化銅(あさんんかどう)(Cu2O)の膜(まく)の中に金原子がコ
ロイド状に分散(ぶんさん)し、それらが表面から入ってきた光を吸収す
るため、黒く見えることがわかってきました。現代科学によってようや
くその謎(なぞ)が解(と)けたのです。
「どんな材料を用いて、どんな技術で作られたのか?」という眼で、博
物館に展示されている作品を観察(かんさつ)することは、昔の人の知恵
に触れることにも繋(つな)がります。きっと、これまでとは一味違(ひと
あじちが)った見方ができることでしょう。
(保存修理指導室 村上 隆)

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