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京都国立博物館 メールマガジン 第18号 2008年10月2日
配信日時:2022/02/15 14:10
京都国立博物館 メールマガジン 第18号[KNM:0018]

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[ご挨拶]
みなさん、お元気ですか?いよいよ秋の特別展の季節がやってきまし
た。今年、京博の特別展示館は蒔絵一色に染められます。蒔絵とは、器
物の表面に漆で絵を描いて、それが乾かないうちに金粉や銀粉を蒔き付
けるというたいへんに豪華な装飾法のこと。平安時代に始まって現代に
いたるまで、漆芸装飾の主流になっています。さて、その蒔絵ですが、
じつは日本人と同じくらい外国の人にも好まれていたんですね。いまで
も、ヨーロッパの美術館や王宮などには、さりげなく日本の蒔絵が飾ら
れていたりします。今回の「japan蒔絵」は、それら輸出されていった漆
器の名品を集めた、いわば里帰りのような展覧会です。ルイ15世の愛
人だったポンパドゥール侯爵夫人ゆかりの品々、それからあのマリー・
アントワネットのコレクションなど、ほんとうに素晴らしい蒔絵作品が
一堂に会します。こんなにたくさんの名品が海外からやってくるのはお
そらく最初で最後でしょう。この機会にぜひともご覧ください。
(学芸部長 小松大秀)



[特別展覧会] japan 蒔絵―宮殿を飾る 東洋の燦めき―
平成20年10月18日(土)縲・2月7日(日)
特別展示館

日本の蒔絵は「鎖国」の時代にも海外へ輸出されていました。遠く東
洋からもたらされる贅沢品として珍重され、各国の宮殿を飾りました。
この展覧会は、マリー・アントワネットのコレクションをはじめ、ヨー
ロッパの宮殿に伝わった数々の名品によって、日本の蒔絵のもうひとつ
の歴史を概観します。

展覧会詳細は→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tokubetsu/081018/tokubetsu.html
公式ホームページ→
http://japan-makie.jp/
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特別展覧会関連シンポジウム
[京都国立博物館 2008年国際シンポジウム]

テーマ:「輸出漆器が語る東西交流400年」
日 時:11月8日(土) 午後1時縲恁゜後5時
会 場:国立京都国際会館 アネックスホール
(JR京都駅より地下鉄烏丸線へ乗りかえ、国際会館駅下車徒歩5分)
聴講料:無 料

詳細はこちら→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/kouza/symposiu/index.html
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[特別公開] 篤姫をめぐる人と刀剣・甲冑
平成20年10月22日(水)縲・2月7日(日)
平常展示館 16室

NHK大河ドラマ『篤姫』が大人気です。鹿児島・島津家の分家に生
まれながら藩主島津斉彬の養女、そして十三代将軍徳川家定の正室とな
り、大奥にあって徳川慶喜の将軍擁立から江戸城開城まで、激動の幕末
に活躍した篤姫の生きざまが視聴者の心をつかんだようです。ドラマに
ちなみ、当館収蔵品から、篤姫のまわりで重要な役割を果たした人物ゆ
かりの刀剣・甲冑の名品五件を公開します。

詳細はこちら→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/chinretsu/atuhime/atuhime2008.html
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[京都・らくご博物館]
京都国立博物館では、多くの皆様に親しまれる博物館づくりの一環とし
て、我が国の伝統芸能である落語を「京都・らくご博物館」と題して春
夏秋冬の年4回、開催時の季節に応じた演目で上演しています。

テーマ:「京都らくご博物館[秋]縲恚ム秋寄席縲怐@VOL.19」
日 時:平成20年10月24日(金)18:00開場 18:30開演
場 所:京都国立博物館 講堂
入場料:全席指定 3,000円(平常展観覧券付)
    立見席  1,500円(椅子なし/平常展観覧券付)

※好評につき、指定席が残りわずかとなっておりますので、お早めにお
買い求め下さい。

詳細はこちら→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/kouza/rakugo/rkg_autum5.html
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[土曜講座]
毎週土曜日の午後1時30分から、当館講堂において、当館研究員が展
覧会や展示品に関連した講座を行っています。
参加費は無料。定員は176名です。
テーマによっては外部講師をお招きしています。
なお、毎月第2・4土曜日および特別展開催期間中の開催の全講座に関
して、講座当日の12時45分から渡り廊下にて入場整理券を発行します。
整理券がなくなり次第、受付を終了いたしますので、あしからずご了承
願います。
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平成20年10月4日
テーマ/芥子園画伝と石濤
講 師/上席研究員 西上 実

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平成20年10月11日
テーマ/あなたの知らない水墨画
講 師/美術室長 山本 英男
*整理券発行

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平成20年10月18日
テーマ/※王様と漆竏茶・[ロッパに渡った日本の蒔絵竏箪r
講 師/主任研究員 永島 明子
※特別展覧会「japan蒔絵竏昼{殿を飾る 東洋の燦めき竏秩v関連講座
*整理券発行

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平成20年10月25日
テーマ/※大航海時代と日本漆器竏駐克R・江戸初期における国際交易竏箪r
講 師/金沢美術工芸大学准教授 山崎 剛氏
※特別展覧会「japan蒔絵竏昼{殿を飾る 東洋の燦めき竏秩v関連講座
*整理券発行

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平成20年11月1日
テーマ/※伝統的な蒔絵と輸出漆器
講 師/学芸部長 小松 大秀
※特別展覧会「japan蒔絵竏昼{殿を飾る 東洋の燦めき竏秩v関連講座
*整理券発行

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講座詳細は→http://www.kyohaku.go.jp/jp/kouza/kouza.html
携帯版は→http://www.kyohaku.go.jp/i/doyou.html



[博物館Dictionary] No.164
あなたに語る・時代を超えて生きる心

金銅装笈(こんどうそうおい)について勉強してみよう。

画像はこちら→
http://www.kyohaku.go.jp/jp/tenji/chinretsu/mmd/mmd164.html

 険(けわ)しい山の中を歩き、仏様や神様に祈って修行(しゅぎょう)
する人たちを山伏(やまぶし)といいます。今も奈良県の大峰山(おお
みねさん)などで、独特(どくとく)の白い着物に身をつつみ法螺貝(ほ
らがい)を吹いて修行する山伏の姿を見ることができますが、江戸時代
以前には、東北から九州まで各地の霊山(れいざん)で、たいへんたく
さんの山伏が活動していました。
 笈(おい)は、山伏が修行のための道具などを運ぶための道具で、背
に「負う」ところから「おい」と呼ばれるようになったといわれていま
す。絵巻物にも笈を背負った山伏が描かれていますが、よく見ると、背
負子(しょいこ)の形をしたもの(板笈(いたおい))と、箱形のもの(箱
笈(はこおい))があったことがわかります。板笈で古いものはあまり残
っていませんが、箱笈は室町時代から江戸時代にかけて作られたものが
全国各地の寺などにいくつも伝わっています。
 展示している笈は、そのような箱笈の中でも、表面をたくさんの飾金
具(かざりかなぐ)でかざったもので、これらが銅板に鍍金(ときん)
(金めっき)した金銅製(こんどうせい)であることから、金銅装笈(こ
んどうそうおい)と呼んでいます。作られた当初は、金具全体が金色(こ
んじき)にかがやいて、たいへんきらびやかだったはずです。
金銅装笈はとくに室町時代から桃山時代、15世紀から17世紀初めにか
けて流行しましたが、新しくなるにつれて金具の量が増え、装飾が派手
になっていきます。この笈は、そのような傾向がかなり進みながらも、
ひとつひとつの文様をしっかりと丁寧(ていねい)に描いているところ
から、16世紀に製作されたものと考えることができます。
 さて山伏の道具入れであるはずの箱笈が、なぜこれほどまでにかざり
立てられるようになったのでしょうか。その答えはあまりはっきりとわ
かっていませんが、ヒントはあります。
というのも金銅装笈のなかに、小さな仏像を納めたものや、内側に仏画
を描いた例があるのです。みなさんは、お寺のお堂の中が、さまざまな
金色の装飾品でかざられているのを見たことがありますか?これはお寺
のお坊さんが派手好きだからではありません。多くのお経では、仏様の
いる場所はきらきらと光かがやく宝石やかざりで満ちたとてもきれいな
ところだと説いています。
ですから、仏像をまつるお堂の中も仏様の世界と同じようにかざり立て
ることが、仏様へのたいせつな供養(くよう)で、大きな功徳(くどく)
があると考えられているのです。笈がいっぱいの飾金具でかざられるよ
うになったのも、笈が山伏の道具入れだっただけではなく、仏様をまつ
る仏壇(ぶつだん)のような役割を果(は)たしたからではないでしょ
うか。
 それは、展示している金銅装笈の金具に表された文様からも想像でき
ます。いちばん目につくのは、2基の五重塔(ごじゅうのとう)ですね。
扉の開いたところに仏様が線彫りされていますが、身につけた衣服や手
の組み方で、向かって右が胎蔵界(たいぞうかい)、左が金剛界(こんご
うかい)という、大きな2つの世界をつかさどる大日如来(だいにちに
ょらい)という仏様であることがわかります。その下の、蓮の台にのっ
た十字形のものは羯磨(かつま)といい、魔除(まよ)けの威力(いり
ょく)のある仏具です。さらに一番上の山形の部分には、楽器を鳴らす
天女が宙を舞って仏様を供養しています。このように、どこからみても
仏様の世界を描いた笈、ということができるでしょう。山伏は、修行に
いった先でこれを背から降ろし、扉を開けて中の仏様を拝(おが)んだ
のかも知れません。一生懸命に鏨(たがね)で彫った文様を見つめてい
ると、遠い昔の人たちの、仏様への敬虔(けいけん)な気持ちが汲(く)
み取れるように思いませんか。
(工芸室 久保智康)

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